産卵を放置すると命に関わる疾患になります

 毎年12月から4月にかけて産卵トラブルでいらっしゃるケースが多く見受けられます。最近は一年中発情、産卵を繰り返している子もいます。

 

 鳥が産卵するのは当たり前と思われている方も多いと思いますが、人間のお産を思い返してみてください。現在は医療の進歩が有り、普通のことですが、その昔は命を落とす方もたくさんいらっしゃいました。現在であっても100%安全と言うことではありません。

 

つまり産卵は危険を伴う物なのです。そして飼育下においては、知らず知らずのうちに産卵を助長してしまっているのです。数多く産卵をしているとうまく産卵ができなくなっていきます。そのため、慢性の産卵や異常産卵、下記のような疾患になってしまうケースが多く見られるのです。

 

 重度に進行すると手術をしなければならない場合や最悪命を落としてしまうこともあります。

以下の状態は危険です!

・定期的に産卵が続いている

 

・産卵の前後で調子が悪い

・文鳥で産卵前後からびっこが認められる

・おなかの一部が出っ張っている

 

・産卵を以前していたが、おなかがだんだん大きくなってきた

・産卵した卵がやわらかい。非対称な形。小さい。血液が付着していた。

・尿や便に血液が混じる

・おしりから赤い物がぶら下がっている

 

青は注意。赤になったら緊急です。

 

上:膜のような軟卵

下:血液の付着した卵

 


産卵を放置すると・・・

卵塞:俗に言う卵詰まりです。便や尿が排出されず、急に状態が悪くなります。

 

卵管脱:卵をうまく出せず、卵管が卵と一緒に反転して肛門から出ている状態です。

 

腹壁ヘルニア

 

慢性発情によって腹圧が上がり、腹壁の一部が破れて皮下に脱出した状況です。場合によっては脱出した消化管がねじれて腸閉塞などに成り急激に状態が悪化することがあります。

 

卵管蓄卵材症

卵管の中に卵をはじめ卵の材料となる物質がたまってしまい、卵管が腫れ上がった状態です。おなかが大きく張り、消化管が圧迫されて排便困難になります。

 

卵墜性腹膜炎

卵管内が詰まっていることで、本来卵巣から排卵された卵胞が卵管内に入らず、腹腔内におち、体腔炎を起こします。呼吸器/消化器をはじめ多臓器が障害を受けて状態が悪化してしまいます。

 

慢性の発情によって腹壁ヘルニアになってしまったセキセイインコ。中央の突出したところがヘルニアです。放置をするとどんどんこれが大きくなってしまいます。またこの膨らみの中に消化管が入ると迂回をするため、人間で言う便秘になってしまいます。


当院では持続的発情を止めるための飼育管理および治療・予防指導に力を入れております。
産卵をしている子がいる方はひどくならないうちに検診を受けてください。